おのおののひとりごと

徒然に、日々の小さな備忘録

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ペリカンの万年筆の話を今日は書かないことにした話

この記事では、ペリカンの万年筆について書こうとして、今日はあえて書かないことにした小さな経緯を記録しています。

デモンストレーターという「透明な万年筆」の話

スケルトンという素材は、どの分野でも一定の人気があるモデルだ。
内部の構造がそのまま見えるというだけで、道具は少しだけ“特別なもの”になる。
万年筆の世界でもそれは同じだが、ペリカンのデモンストレーターの生い立ちは少し異なる。
透明軸が人気を得るずっと前から、彼らには“見せるための道具”としての役割があった。

透明軸は“教材”として生まれた

万年筆の世界には、ときどき本来の役割から外れたところで愛されてしまう道具がある。
ペリカンのデモンストレーター、いわゆるスケルトン軸は、その代表だ。

もともと透明軸は、販売員が仕組みを説明するための“教材”だった。
ピストンがどう動くのか、インクがどこを通るのか。
内部の構造を見せるために透明である必要があっただけで、
そこにデザイン性や所有欲を刺激する意図はなかった。

裏方だった透明軸が“欲しいもの”になった

ところが透明軸は、いつの間にか“欲しいもの”になっていく。
インクの色が透けて見えること。
ピストンの金属が光を拾うこと。
樹脂の奥にある構造が、そのまま美しさとして立ち上がること。
本来は裏方だった透明軸が、気づけば主役になっていた。

M200(金)と M205(銀)が生んだ透明軸文化

ペリカンのデモンストレーターは、もともと M800 系(ハイエンド)や
M1000 系(フラッグシップ)といった上位モデルで、限定色として展開されていた。

その“透明軸の楽しさ”が普及帯の M200 系にも降りてきたことで、
価格的に手が届きやすくなり、透明軸文化が一気に広がった。

M200 系には、金色トリムの M200 と、銀色トリムの M205 がある。
金具部分の色が金と銀の 2 パターンあり、
透明軸の印象を大きく左右するポイントになっている。

M200/M205 は、透明軸の魅力を日常に落とし込んだシリーズだ。

自分はシルバーが好きなので、自然と M205 を選んでいる。
透明軸の“構造の美しさ”をそのまま受け止めるには、
銀色のほうが余計な装飾がなくてしっくりくると感じる。

スケルトンは一度消え、また戻ってきた

このスケルトンモデルは、ずっと定番だったわけではない。
一度市場から姿を消し、しばらく買えない時期があった。
その後ふとしたタイミングで再販され、
「また戻ってきた」という感覚を覚えた人も多いはずだ。

透明軸は、そういう“断続的な存在感”を持っている。

原型のスケルトンは職場に置きっぱなし

そんな原型のスケルトン(M205)が、今は職場に置きっぱなしになっている。
手元にあるのは、限定色のアクアマリン。

M200 系に限定色が展開されるようになったのは、たしか 2010 年代に入ってからだった。
透明軸の楽しさが一般層にも広がり、色付きデモンストレーターが毎年のように登場するようになった時期だ。

自分が持っている 2016 年のモデルも、その流れの中にある一本だ。
アクアマリンという色は、透明軸の軽やかさとよく馴染み、
所有欲をそそる“ちょうどいい鮮やかさ”を持っていた。

けれど今日は、その限定色に触れる前に、
まず原型のスケルトンと向き合いたいという気持ちが勝ってしまった。

触れる順番を守りたいという気持ち

透明軸の歴史を思えば、
まずは原型のスケルトンと向き合ってから、
その延長線上にある限定色へ進みたい。
そういう儀式めいた感覚が、自分の中にある。

今日はボツになったけれど

だから今日は、ペリカンの万年筆の話を書くのをやめた。
手元にない原型のスケルトンを思い出しながら、
透明軸という存在の生い立ちだけを書いて終えることにした。

近い将来、必ず紹介したい両モデルだ。