この記事では、ペリカンの万年筆 M205 デモンストレーターについてのレビューをまとめたものです。
ペリカンの万年筆 M205 デモンストレーターのクリアボディについて紹介しようとしたところ、
職場に置きっぱなしであることに気がついて書けなかったのは先日の話だ。
やっと、持って帰ってきたので紹介したい。
デモンストレーターという「透明な万年筆」の話
スケルトンという素材は、どの分野でも一定の人気があるモデルだ。
スケルトンというと、その斬新なデザインで一世を風靡したiMac G3を思い出す。
当時のiMac G3はまさにこの表現がぴったり!
スケルトンボディにカラフルなカラーリング、そして「パソコン=灰色で地味」というイメージを一新したんだから、まさに時代を席巻した存在だった。
CDドライブがスロットイン式になったり、USBポートを初めて標準搭載したりと、当時としてはかなり革新的だった。
その当時とは1998年。すでに30年近く前であることに、年月の過ぎ去る速さを感じる。
話が脱線してしまった。
万年筆の話である。
スケルトンボディーで内部の構造がそのまま見えるというだけで、道具は少しだけ“特別なもの”になる。
万年筆の世界でもそれは同じだが、ペリカンのデモンストレーターの生い立ちは少し異なる。
透明軸が人気を得るずっと前から、彼らには“見せるための道具”としての役割があった。
透明軸は“教材”として生まれた
万年筆の世界には、ときどき本来の役割から外れたところで愛されてしまう道具がある。
ペリカンのデモンストレーター、いわゆるスケルトン軸は、その代表といえる。
もともと透明軸は、販売員が仕組みを説明するための“教材”だった。
ピストンがどう動くのか、インクがどこを通るのか。
内部の構造を見せるために透明である必要があっただけで、そこにデザイン性や所有欲を刺激する意図はなかった。
裏方だった透明軸が“欲しいもの”になった
ところが透明軸は、いつの間にか“欲しいもの”になっていく。
インクの色が透けて見えること。
ピストンの金属が光を拾うこと。
樹脂の奥にある構造が、そのまま美しさとして立ち上がること。
本来は裏方だった透明軸が、気づけば主役になっていた。
M200(金)と M205(銀)が生んだ透明軸文化
ペリカンのデモンストレーターは、もともと M800 系(ハイエンド)や
M1000 系(フラッグシップ)といった上位モデルで、限定色として展開されていた。
その“透明軸の楽しさ”が普及帯の M200 系にも降りてきたことで、
価格的に手が届きやすくなり、透明軸文化が一気に広がった。
M200 系には、金色トリムの M200 と、銀色トリムの M205 がある。
金具部分の色が金と銀の 2 パターンあり、
透明軸の印象を大きく左右するポイントになっている。
M200/M205 は、透明軸の魅力を日常に落とし込んだシリーズだ。
自分はシルバーが好きなので、自然と M205 を選んでいる。
透明軸の“構造の美しさ”をそのまま受け止めるには、
銀色のほうが余計な装飾がなくてしっくりくると感じる。
スケルトンは一度消え、また戻ってきた
このスケルトンモデルは、ずっと定番だったわけではない。
一度市場から姿を消し、しばらく買えない時期があった。
その後ふとしたタイミングで再販され、
「また戻ってきた」という感覚を覚えた人も多いはずだ。
透明軸は、そういう“断続的な存在感”を持っている。 また毎年限定色として、多様な色のスケルトンボディを発表している。
原型のスケルトンを紹介
そんな原型のスケルトン(M205)、職場に置きっぱなしになっていたものを持ち帰ってきた。
外見は長い年月を共にしたため、だいぶ擦り傷が多くヤレている。
しかし、一番手にしっくりくるのはこいつである。
右手の延長といっても過言ではない。
M200 系に限定色が展開されるようになったのは、たしか 2010 年代に入ってからだった。
透明軸の楽しさが一般層にも広がり、色付きデモンストレーターが毎年のように登場するようになった時期だ。
M205 デモンストレーター(クリアボディ)


書き味
前置きがものすごく長くなってしまったが、ここからが本題である。
スチールのペン先は硬い。
しかも細字(F)を選択している。
筆圧を気にする必要なく、ガシガシ使える。
インクが途切れて引っかるようなこともなく、硬いながらもヌルヌルとした万年筆然とした書き味だ。
試し書き


魅力
インクボトルからインクを吸い取るという行為。
その、ある意味面倒な所作で、ピストンの動きが見えるのがメカメカしくてたまらない。
コンバーターではなく、ボディ全体にインクを貯めるため、一度の吸引で大量のインクを蓄えられる。
気分によってインクの色を変えた時など、そのインクの色を感じられるのが良い。
軽量ボディと、丁度よいサイズ感。長い文章を書いていても疲れない。
インクを変えるなどの際、十分な洗浄が必要であるが、これがまた楽である。
ペン先を水につけて、ピストンを上下する・・・でも良いのだが、
ペン先をひねれば、かんたんに分解出来るため、洗い残しがない。
まとめ
「あばたもえくぼ」といえるほど、「恋は盲目」な状態ほど愛用している万年筆である。
しかし、「あばた」といえる欠点がみあたらない。
それが、唯一の「あばた」かもしれない。