初代エボと過ごした時間
初めてのエボは、まだ「エボⅠ」と呼ばれていなかった頃のランサーエボリューションだった。
ギャランVR-4でWRCに参戦していた三菱が、一回り小さいランサーで戦うために作った車。
ここから、ランエボとインプレッサの長い歴史が始まった。

■ 発売3日で完売し、追加販売で手に入れた一台
初代エボは発売からわずか3日で完売した。
その後、限定ながら追加販売が行われ、運よくその追加分を購入できた。
当時はまだ街中でエボを見ること自体が珍しく、走っているだけで視線を感じた。
巨大なリアウイングは、R32 GT-Rより大きいと思ったほどで、どこへ行っても目立った。
■ 加速するとリアが沈む、初代エボだけの姿勢
ある意味、VR-4に搭載されていた4G63は憧れの存在だった。
低いギア比だったこともあり、その加速には驚き、そして感動した。
4G63ターボの強烈なトルクに対して、リアサスまわりの剛性が少し甘かった。
そのため、アクセルを踏み込むとリアが大きく沈み込み、フロントが軽く浮くような姿勢になる。
これは初代エボだけが持っていた独特の挙動だった。
荒々しく、未完成で、だからこそ面白い車だった。
■ インプレッサの試乗
スバルのディーラーに行き、インプレッサに試乗した。
街中ではエンジンを回すこともできず、エボのトルクの太さの方が運転しやすいと感じた程度だった。
試乗を終えてディーラーに戻ると、工場中の従業員と思えるほどの人たちが、
エボのエンジンルームを覗き込んでいたのには笑った。
■ 調整直後は驚くほど素直だが、すぐに狂うアライメント
アライメントを取り直した直後のエボⅠは、驚くほど素直に曲がった。
「これはハンドリングマシンか」と思うほどだったが、すぐに狂ってしまう。
スポット増し溶接など、当時は“剛性アップ”を謳う言葉が多かったが、
実際にはまだまだ荒削りな部分が残っていた。
■ エボⅡのリップスポイラーを流用した話
エボⅡが発売されたあと、そのリップスポイラーを流用した。
取り付けると高速域でフロントが沈み込むような感覚があり、
初代エボの弱点だった“浮き”が少し和らいだ。
エボⅡはリアスポイラーにもリップが追加されていたが、
フロントのリップのみ追加したため、その効果がより感じられたのだと思う。
小さな変更で性格が変わるところも、初代エボの魅力だった。
■ 意外と普通に走った燃費
1.6リッターのミラージュと比べれば燃費は落ちたが、
それでも市街地で10km/L前後、高速で12〜14km/Lほど走った。
4WDターボとしては十分に“普通の燃費”で、日常の足としても破綻しなかった。
■ エボⅠを手放した理由は、エボⅣの噂だった
そんなエボⅠを手放すことにしたのは、エボⅣ発売の噂が流れ始める前だった。
エンジンは横置きのまま回転方向が逆になるという話。
さらにAYCが初搭載されるという情報もあった。
そんな噂が広がるよりも前に、ディーラーから「次のエボが出る」という連絡があり、
迷わず予約した。
期待の熱が高まり、気持ちは自然と次のエボへ向かっていった。
■ 初代エボという車
荒々しく、未完成で、しかし魅力にあふれた車だった。
走るたびに性格が変わり、手を入れるたびに応えてくれる。
街中でも目立ち、視線を集める存在だった。
エボⅠは、エボという長い歴史の中でも特別な一台だったと思う。
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