この記事は、上村五十鈴『雑貨店とある』の感想と作品紹介です。雑貨店という限られた空間を舞台に描かれる“劇場型”の日常物語の魅力と、私がこの作品を気に入った理由について紹介します。
● はじめに
Amazonのおすすめで紹介された作品だった。
読書履歴からの推測なのだろうし、統計上の傾向から導き出された結果に過ぎないのだろうが、
それでも自分の本棚を覗かれているようで少し気恥ずかしい。
もっとも、ここまで「好きな作品の話」として百冊以上の本を紹介しているのだから、
今さら隠すような話でもない。
その日、おすすめ欄に表示されていたのが『雑貨店とある』だった。
● 物語の設定
都会の喧騒の中ではない。
静かな町の外れにひっそりと建っているような、一軒の雑貨店がある。
店の名は『とある』。
自然素材で作られた生活雑貨を扱う店で、
店内には小さなカフェスペースも併設されている。
『とある』の店主は、不思議なほど博識だが、どこかのんびりとした性格だ。
男子高校生のアルバイトとともに、平和な、あるいは少し暇な時間を過ごしている。
季節を意識したスイーツ。
常連客との何気ない会話。
大きな事件が起きるわけではないが、 店を訪れる人たちの小さな日常が静かに積み重ねられていく。
● 物語の魅力
Amazonさん、良くご存知です。
私が好きな作品の傾向を見事に見抜かれていました。
雑貨店という閉じた空間を舞台に、
常連客たちが訪れ、会話を交わし、
日常が少しだけ動いていく。
登場人物は増えていくのだが、
舞台そのものはほとんど変わらない。
まるで演劇のように、
同じセットの上で様々な物語が繰り広げられていく。
こうした「劇場型」の物語が好きだったことが、最近明らかになった。
気持ちの良いのんびりとした時間が流れ、
慌ただしい展開はないのに、ついつい次の話を読んでしまう。
好きです。この設定。
● 著者情報
上村五十鈴。
『雑貨店とある』『星の案内人』など、 限られた空間を舞台に人々の日常を描く作品を発表している漫画家。
派手な展開よりも空気感や人間関係を丁寧に描く作風が特徴で、 私が好きな「劇場型」の物語を描く作家の一人である。
● 書籍情報
- タイトル:雑貨店とある
- 著者:上村五十鈴
- 出版社:芳文社
- レーベル:芳文社コミックス
- 掲載誌:週刊漫画TIMES
- 巻数:全5巻(完結)
- ジャンル:ヒューマンドラマ / グルメ / 日常もの
| 巻 | 発売年月 | ISBN13 |
|---|---|---|
| 1巻 | 2020年3月 | 978-4832237254 |
| 2巻 | 2020年9月 | 978-4832237445 |
| 3巻 | 2021年3月 | 978-4832237780 |
| 4巻 | 2021年10月 | 978-4832238251 |
| 5巻 | 2022年4月 | 978-4832238954 |
● まとめ
『雑貨店とある』は、私にとってまさに好みの作品だった。
雑貨店という限られた空間。
そこで繰り広げられる人々の日常。
派手さはないが、穏やかで優しい時間。
こうした舞台型の物語は、どうやら私の好みによく合うらしい。
そして何より、作者である上村五十鈴の作風が気に入った。
登場人物以上に空間そのものが印象に残る。
大きな出来事よりも、その場に流れる空気を味わう。
そんな作品だった。
ならば次も読んでみよう。
そうして手を伸ばした『星の案内人』を、近いうちに紹介します。
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