この記事は、夏見正隆著の『スクランブルシリーズ』について、ネタバレせずにその魅力をまとめたものです。
はじめに
戦闘機好き、ドックファイト好き、トップガンを見た世代にとっては心惹かれる物語である。
素人目に見て、戦闘機の操縦を行う描写は、実にリアルと感じる。
著者である夏見正隆が、現役パイロットであるということが、そのリアルさを深めていく。
設定と物語
舞台は現代の航空自衛隊である。
F-15戦闘機のパイロットである三人の主要人物が物語を展開する。
| 登場人物 | 階級 | 補足説明 |
|---|---|---|
| 風谷 修(かぜたに おさむ) | 三等空尉 | 若手、伸びしろがあるというか未熟。優しい性格。 |
| 鏡 黒羽(かがみ くろは) | 三等空尉 | 若いが、技量が抜きん出ている。無口で感情を表に出さない。 |
| 漆沢 美砂生(うるしざわ みさお) | 三等空尉 | 新米一般幹部候補生。不幸を一身に背負う性。 |
※ 階級は連載開始当時
魅力
最初に書いた通り、トップガンを見た世代にとって心惹かれるのは、この物語の魅力の半分にすぎない。
残り半分は、痛切な政治風刺・組織風刺・社会構造への皮肉である。
手汗握る空戦と、時にコメディのように見える風刺のギャップが、物語に独特の奥行きを与えている。
書籍情報
読み直しをするとき、毎回書籍の順番に悩むため、自らの備忘としての一覧形式でまとめてみる。
| 番号 | 発行年 | タイトル |
|---|---|---|
| 1 | 2008 | スクランブル ― イーグルは泣いている |
| 2 | 2008 | スクランブル ― 要撃の妖精(フェアリ) |
| 3 | 2009 | スクランブル ― 復讐の戦闘機(フランカー)〈上〉 |
| 4 | 2009 | スクランブル ― 復讐の戦闘機(フランカー)〈下〉 |
| 5 | 2009 | スクランブル ― 亡命機ミグ29 |
| 6 | 2010 | スクランブル ― 尖閣の守護天使 |
| 7 | 2011 | スクランブル ― イーグル生還せよ |
| 8 | 2012 | スクランブル ― 空のタイタニック |
| 9 | 2013 | スクランブル ― バイパーゼロの女 |
| 10 | 2015 | スクランブル ― 不死身のイーグル |
| 11 | 2016 | スクランブル ― 荒鷲の血統 |
| 12 | 2016 | スクランブル ― 決戦! 日本海上空〈上〉 |
| 13 | 2017 | スクランブル ― 決戦! 日本海上空〈下〉 |
| 14 | 2021 | スクランブル ― 蒼穹の五輪 |
著者:夏見正隆 発行元:徳間文庫
後続刊について
公式に完結したという話はない。
しかし、2021年以降、後続刊が発表されていない。
物語の本筋は、2017年の『決戦! 日本海上空〈下〉』で一応の決着を迎える。
しかし、その終わり方は“続きがある”ようにも読めるため、新刊の発表を今も待ち遠しく思っている。
一読者として、切に願う。
2021年に発行された『蒼穹の五輪』は、東京五輪の開催に合わせたサイドストーリー的な話であった。
夏見正隆の謎
公式には、1960年生まれの現役パイロットとある。
パイロットという業務の傍で、執筆活動ができるのかが、第一の謎である。
また、どのような種類のパイロットだったのかを知る術もない。
ここからは、勝手な想像である。
素人目には、そのリアルさに驚く空戦シーンや、飛行特性の描写があることから、元空自のパイロットではないかと推測。
その後、民間の航空会社に移る。
年齢的に、事業系の旅客機など定期的運行がある種の職種ではなく、
パイロット免許を今も所持しているという意味での現役パイロットではないのかと推測する、
今回紹介したスクランブルシリーズの他にも、多くのシリーズものの小説を執筆している。
しかし、どうにも完結しないシリーズが多い気がする。
終わらせえるつもりがあるのだろうかと、疑いではなく、ひとつの不安が残る。
まとめ
スクランブルシリーズは、リアルな描写と風刺・皮肉の共存により、大変面白い読み物であり、おすすめできる。
注意点としては、話の後続が読みたいという、思いが強く残る点である。
それほど、面白いと言える。
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