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はじめに

『童夢』大友克洋著|好き作品の話

この記事は、大友克洋著『童夢』についての記憶と、購入、その作品の魅力についてネタバレ無しにまとめたものです。



映画『AKIRA』の放送から

それは2026年1月3日だった。
正月三ヶ日、新聞のテレビ欄をじっくり読む習慣はない。
たまたまザッピングをしていた時、突然始まったのが、映画『AKIRA』だった。
しかも、普段は見ることもないNHK Eテレで。

その時、再放送されていた『漫勉neo 大友克洋』で、浦沢直樹と大友克洋の対談が放送されていた。
対談の中で、『童夢』に触れられていたのだが・・・

既視感(デジャビュ)・記憶の残影・幻影

紹介されていた『童夢』の絵を見た瞬間、こみ上げる記憶。
過去に見た気がする。
読んだような気がする。

しかし、1980年に連載していたアクションは購読していない。
時期的には、ちょうど漫画収集を始めた頃だと思う。
『童夢』掲載直後に連載開始した『AKIRA』については、単行本ながらリアルタイムで購入していた。
『AKIRA』は今でも手元にある。
しかし、『童夢』の単行本は無い。

気に入った作品、特に単行本を入手した作品であれば、何度も読み返す自分の性格。
持っていたか否かくらいは覚えていそうだ。
やはり、持っていなかったのか?
ではなぜ、読んだ記憶が微かにある気配があるのか?

まるで大友ワールドの迷宮に入り込んでしまったようだ。

『童夢』の絵柄には、どこか“記憶の底に沈んでいた断片”を掘り起こすような力がある。
団地の無機質な壁、影の落ち方、人物の佇まい──
どれも見覚えがあるようで、しかし確信が持てない。
大友作品に触れた経験がある人なら、この奇妙な既視感を共有できるかもしれない。
「読んだ記憶があるのに、読んだという事実がない」という矛盾が、作品そのものの雰囲気と重なり、
まるで自分の記憶までもが作品世界に取り込まれていくような感覚があった。

単行本購入

Amazonを検索すると、全集として復刻していた。
kindleでは扱いがない。
迷わず、注文する。

購入した『童夢』の表紙の写真

『童夢』実読

届いた本は大きかった。
精密な描写の大友作品には、ちょうどよいサイズかもしれない。
全4話。
読み進めるうちに思い出す。
やはり読んだことがある。
しかし、明白な記憶は蘇らない。
何時、どうやって読んだのか、思い出せない。
この読んだことがあるという記憶の方を疑った方が良いのだろうか?とすら思える。

作品と曖昧な記憶の相乗効果か、始終、夢の中に迷い込んだような感覚のまま、読み進む。

読了

読んだはずの記憶。
読んでいなかったはずの現実。
そのあいだに、何かがあったのかもしれない。

ページを閉じても、団地の影が、まだどこかに残っている。
それが何なのかは、うまく言葉にできない。

この不思議な感覚のまま終わらせるのも、また良いのかもしれない。


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