この記事は、コミック『クリスティ・ハイテンション』(新谷かおる著)について、ネタバレしない範囲でその魅力を考察しています。
新谷かおるという作家のこと
『エリア88』の作者である新谷かおる氏は、好きな漫画家の一人である。
彼の作品にも、何度も読み返してしまうものがいくつもある。
漫画に限らず、小説でも、気に入った作品はつい手に戻ってくる。
その中のひとつが、『クリスティ・ハイテンション』だ。

作品の輪郭
舞台はイギリス。
主人公は、シャーロック・ホームズを叔父に持つ少女クリスティ。
お嬢様としての立場を求められながら、好奇心と行動力がその枠を軽やかに越えていく。
彼女に付き従うのは、執事や、個性的で有能なメイドたち。
ときに護衛のように、ときに振り回されながら、事件の匂いに引き寄せられていく。
ミステリィでありながら、どこか柔らかいコメディの気配が漂う作品だ。
“ズレ”が生む面白さ
読み返して気づくのは、事件そのものよりも、
立場と行動のあいだに生まれる“ズレ”の面白さだ。
他作品でも多く見られる、新谷かおる流のユーモアだ。
おしとやかであるべき少女が、推理の糸を追って駆け出してしまう。
それを止めようとする大人たちが、結局は巻き込まれていく。
テンポがよく、肩の力を入れずに読めるのに、
気づけばまた最初の巻を開いている。
距離感について
ただ、気づくとまた手に取っている。
理由ははっきりしないまま、ページをめくってしまう。
たぶん、そういう距離の作品なんだと思う。
作品データ
- 『クリスティ・ハイテンション』
- 作者:新谷かおる
- 全7巻
- 2006〜2011年「コミックフラッパー」連載
- メディアファクトリー刊
