この記事は、カルティエ万年筆『ディアボロ ドゥ』を四半世紀使い続けてわかった、一本が“育つ”という実感の記録です。
四半世紀とともに育った一本
■ 出会い ― 一目惚れの瞬間
その万年筆は、一目惚れだった。
● ラピタとの出会い
当時、小学館の『ラピタ』が“大人のための少年誌”を掲げていた頃。
コンセプトは「モノにこだわった大人のための少年誌」。いまは休刊してしまったが、あの雑誌には独特の熱があった。
その万年筆特集のページで、私は初めてカルティエの『ディアボロ ドゥ』を見た。
● 写真の中で光っていたもの
写真の中の一本は、他のどれとも違って見えた。
深いブルーのカボション。
漆黒のボディ。
そして、指輪のように控えめに光るシルバーの環。
その三つが揃った瞬間、心のどこかが静かに決まった。


■ 購入 ― 節目の一本
手に入れたのは、もう四半世紀も前になる。
勤続10年の記念にもらった商品券に少し足して、思い切って選んだ一本だ。
新宿伊勢丹のカルティエで購入した。
■ ペン先の悩みと、カルティエの対応
● Fを選んだ理由と、最初の違和感
細字が好みだったので、迷わずFのペン先を選んだ。
ところが、18金の柔らかいペン先は、私の筆圧では思ったより太く出てしまう。
せっかくの一本なのに、どこかしっくりこない。
● 銀座カルティエでの出来事
思い切って銀座のカルティエに相談に行った。
事情を話すと、ペン先を店員の方がEFに交換してくれた。
買ったばかりだからと、交換費用は受け取らなかった。
こちらはクレームを言いに行ったつもりはない。
ただ、この一本とどうすれば仲良くなれるかを知りたかっただけだ。

● 一流ブランドの強さ
その対応に触れた瞬間、
“顧客第一主義”という言葉が、単なるスローガンではないことを知った。
あの一件で、一流ブランドの本当の強さに惚れた。
■ 書き味の変化 ― 育つという実感
● 当初のカリカリ感
EFということもあって、当初は紙によって少しカリカリとした感触があった。
それもまた、この一本の個性だと思っていた。
● 四半世紀後の滑らかさ
けれど、四半世紀が過ぎた今では、驚くほど滑らかに走る。
まるで、こちらの癖や筆圧を覚えてくれたかのように。

■ まとめ ― 一本が“自分のもの”になる時間
万年筆は、時間とともに馴染む。
そして、育つ。
その言葉の意味を、このディアボロ ドゥが教えてくれた。