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はじめに

『白いヘビ眠る島』 三浦しをん著|好きな作品の話

この記事では、『白いヘビ眠る島』(三浦しおん著)をネタバレ無しで紹介し、読んで感じたこと考察しています。

初稿でタイトルを誤記していたため、訂正します



はじめに

場面の断片が自然と脳裏に浮かんでくる。

高校生の悟史が夏休みに帰省した島では、十三年に一度の大祭が行われる。
不思議な存在の噂と、閉鎖的な村社会。
その空気は、現在に当てはめても違和感がなく、
時代を感じさせない物語になっている。

実際にはあり得ないであろうシーンが、違和感なく映像として脳裏に浮かぶのは、
著者である三浦しをんだからこそ、なせる手法なのだろうか。
いや、そんな考察は余計だ。
読み進めるうちに、ただただ引き込まれていった。

記憶に残るのは断片のほう

思い返すと、特定のシーンだけが強く残っているわけではない。
島の湿度、光の角度、人の沈黙、伝承の気配――
どれもがひとつの呼吸のように重なり、
“どこが一番好きか”を選べないまま、全体が心に刻まれている。

物語が映像のように見える稀有な感覚のまま、静かに引き込まれていく。
大好きな作品であるのに、映像化されたら違和感があるだろうと感じるのは、
自分の中にできあがった“島”があまりに強いからだと思う。

今も静かに息をしている島

こうして言葉にしてみると、忘れていたはずの断片が静かに蘇る。
ただ、それだけで十分だ。
今もどこかで、あの島が変わらず息をしているような気がする。
その感覚は、読めばきっと伝わると思う。 "小説『白いヘビ眠る島』の表紙の写真"

書誌情報

『白いヘビ眠る島』
三浦しをん
新潮社(2001年)


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